愛され王女は王の道をゆく
「な、にを、して……」

「後で治療してあげるから、今はそのまま見てなさい」


 アナスタシアはそう残し、暗殺者目掛けて駆ける。

 まずは背後にいた一人に襲いかかったアナスタシア。
 暗殺者は動揺しているようだったが、正確にアナスタシアの命を狩りに来ている。

 アナスタシアはその気迫に遅れを取ることもなく、振り下ろされた剣を左手のソードブレイカーで受け止め、暗殺者の剣を中程でへし折る。

 目を見開く暗殺者の喉に、アナスタシアは容赦なく、剣を突き入れた。

 絶命し倒れる暗殺者を見届けることもなく、アナスタシアは次の攻撃に移る。

 折れて宙を舞う剣先を、右手を出して白刃取りの要領で掴み、手裏剣のごとく他の暗殺者に投げる。

 流石の暗殺者もこれは予想外だったため、防ぐ間もなく一人の眉間に刺さった。


「残りは三人」


 そう言いながら、喉に刺さったままだった剣を引き抜き、再び構えるアナスタシア。

 暗殺者は顔を見合わせ、一人は背後に飛び、二人が突っ込んできた。

 “飾り姫”の異常な戦闘力は、アナスタシアを邪魔に思う貴族にとって、イレギュラー以外の何者でもない。

 今後の計画が尽く転覆しかねない情報であるため、一人を主の元へ戻らせようとしたのだ。

 しかし、背後に飛んだ暗殺者は、見えない壁に当たり、逃げることは叶わなかった。
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