愛され王女は王の道をゆく
 結界は防御用の魔術として使われることが一般的だが、外界との繋がりを断つものであるため、こうして、檻の様に使うことも出来るのだ。


「さて、私のことを話されると面倒だし、そろそろ――」


 アナスタシアがそう言った瞬間。目の前が真っ白に染まる。
 暗殺者が閃光玉を使ったようだ。

 その隙きに全力の一撃を結界に加え破壊、暗殺者はその場を離れた。

 結界は檻として使えるが、一点突破に弱いのだけは唯一の弱点だった。
 そして、暗殺者はそのことをよく理解していたのだ。

 ただ、一つ誤算があったとすれば、アナスタシアも魔帝の様に、数多の魔術が使えるという点だろう。

 指を鳴らす音がその場に木霊した瞬間、轟音と共に暗殺者に一つの雷が落ちた。

 後には、黒焦げになった暗殺者が倒れ込む。

 これで、全ての暗殺者が片付いた。


「お待たせ」


 アナスタシアはすぐにリィンに近寄ると、治癒魔術でリィンの背中の傷を塞ぐ。

 暫くして、リィンは背中の痛みが完全に引いたことに気付いた。どうやら、本当に傷が塞がったらしい。


「教会に現れる聖女か……アナスタシア王女殿下が治癒魔術を使うことは、私もレオナルド殿下から聞いていましたが、まさかここまでとは」

「凄いでしょ? まぁ、今は曽祖父の時代と違って、魔術師も少ないから、物珍しいだけの様な気もするけどね。
 あ、それと、しばらくは安静にしてね。傷は治っても、流れた血は戻らないから」


 そう言われて立ち上がると、少し立ちくらみがする。

 しばらくは貧血が続きそうだと思いながら、リィンは訓練をどう言い訳して休むかを考えていた。

 それを察してか、アナスタシアは「手は打っておく」と言うが、リィンは逆に激しい不安に襲われるのだった。
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