初対面の男の人とルームシェアリング始めました。
その日の夜9時・・・。蓮くんから、電話が来た。
「悪い、陽葵、今すぐ、奈美を連れて帰っていいか?異性を連れ込むの禁止、って約束だったけど、こいつ、どうしても陽葵に会わないと気が済まないって言うんだ。陽葵、未成年だから、バーは駄目だろ?」
このアパートに奈美さんを入れるのは嫌だった。これから始まる、蓮くんとの新生活の家に。
「蓮くん・・・うちの向かいの、”Baby's Breath”っていうカフェに奈美さんを連れてきて。24時間営業の店だから」
「・・・分かった。1時間後に行くよ」
蓮くんは結局、奈美さんを説得できなかったんだ。あんなに自信満々だったのに。彼は、少し女性をなめているところがあるのかもしれない。
Baby's Breathは、お客さんでにぎわっていた。でも、会話ができないほどざわざわしているわけではない。私は、窓際の席で2人を待った。奈美さん・・・どんな人だろう。
時間を少し過ぎて、蓮くんが腰くらいまでの長い髪の女性を抱えるようにして入ってきた。彼女、かなり酔ってるらしい。
「蓮くん、奈美さん、こっち」
「陽葵、わざわざ出てきてくれてありがとう」
蓮くんが言う。隣で奈美さんがかっと顔をあげて
「あなたなの?泥棒猫は!!」
と、私につかみかかろうとした。必死に止める蓮くん。
「放してよ、連!」
私につかみかかってきた。
「・・・葵ちゃん?」
呆けたように奈美さんが言う。腕の力が弱まったので、解放されて席に座った。
「葵の妹の、陽葵です。座ってください。蓮くんも」
「あ、ああ」
「くっくっくっ・・・あなた、すぐに振られるわ。元カノの面影を求めてつきあっただけなんだから」
奈美さんが馬鹿にするように言った。
「まだ、つきあってません。元カノって、お姉ちゃんですか?」
「そうよ。3年前まで、2人は付き合っていたの。拓巳くん、って言うイケメンが葵ちゃんにアプローチするまでね」
そうだったんだ。お姉ちゃんは、ずっと拓巳さんと付き合ってたとばかり思ってた。考えてみたら、『彼氏』を紹介されたのは、1年半ほど前だ。・・・蓮くんはお姉ちゃんに似ている私を好きになったのだろうか。私の頬を涙が伝った。
「違うんだ、陽葵。葵のことを隠していたのは悪かったけど、僕は陽葵の純真なところとか、まだ一緒に住んで数日だけど、おいしい朝食を作ってくれたり、僕の曲に感動してくれたり・・・そんなひとつひとつに惹かれたんだ。葵の妹だからじゃない」
蓮くんが私の目をまっすぐに見て言ってくれる。信じたい。信じたいけど。
「奈美には感謝している。葵に振られた僕の心を癒してくれた。好きになれると思った。好きになったと思った。でも・・・陽葵に会って思ったんだ。それは、愛じゃなかったのかもしれないと。
「感謝、なんて、してほしくないわよ」
オーダーしたアイスティーを一口も飲まないまま、奈美さんは席を立った。
「でも、愛じゃなかった、なんて言われたら、私、どうしたらいいの?教えてよ」
「奈美・・・ごめん」
「ごめん、っていうくらいなら、心変わりなんかしないでよ!」
奈美さんの顔は涙でぐしょぐしょだった。
「ごめん・・・僕にはもう、その涙をぬぐう資格がない」
「馬鹿!」
バシィィィン!奈美の平手打ちが蓮を打ちのめした。
「ごめん・・・何を言われても、奈美には戻れない。陽葵を愛してる」
「悪い、陽葵、今すぐ、奈美を連れて帰っていいか?異性を連れ込むの禁止、って約束だったけど、こいつ、どうしても陽葵に会わないと気が済まないって言うんだ。陽葵、未成年だから、バーは駄目だろ?」
このアパートに奈美さんを入れるのは嫌だった。これから始まる、蓮くんとの新生活の家に。
「蓮くん・・・うちの向かいの、”Baby's Breath”っていうカフェに奈美さんを連れてきて。24時間営業の店だから」
「・・・分かった。1時間後に行くよ」
蓮くんは結局、奈美さんを説得できなかったんだ。あんなに自信満々だったのに。彼は、少し女性をなめているところがあるのかもしれない。
Baby's Breathは、お客さんでにぎわっていた。でも、会話ができないほどざわざわしているわけではない。私は、窓際の席で2人を待った。奈美さん・・・どんな人だろう。
時間を少し過ぎて、蓮くんが腰くらいまでの長い髪の女性を抱えるようにして入ってきた。彼女、かなり酔ってるらしい。
「蓮くん、奈美さん、こっち」
「陽葵、わざわざ出てきてくれてありがとう」
蓮くんが言う。隣で奈美さんがかっと顔をあげて
「あなたなの?泥棒猫は!!」
と、私につかみかかろうとした。必死に止める蓮くん。
「放してよ、連!」
私につかみかかってきた。
「・・・葵ちゃん?」
呆けたように奈美さんが言う。腕の力が弱まったので、解放されて席に座った。
「葵の妹の、陽葵です。座ってください。蓮くんも」
「あ、ああ」
「くっくっくっ・・・あなた、すぐに振られるわ。元カノの面影を求めてつきあっただけなんだから」
奈美さんが馬鹿にするように言った。
「まだ、つきあってません。元カノって、お姉ちゃんですか?」
「そうよ。3年前まで、2人は付き合っていたの。拓巳くん、って言うイケメンが葵ちゃんにアプローチするまでね」
そうだったんだ。お姉ちゃんは、ずっと拓巳さんと付き合ってたとばかり思ってた。考えてみたら、『彼氏』を紹介されたのは、1年半ほど前だ。・・・蓮くんはお姉ちゃんに似ている私を好きになったのだろうか。私の頬を涙が伝った。
「違うんだ、陽葵。葵のことを隠していたのは悪かったけど、僕は陽葵の純真なところとか、まだ一緒に住んで数日だけど、おいしい朝食を作ってくれたり、僕の曲に感動してくれたり・・・そんなひとつひとつに惹かれたんだ。葵の妹だからじゃない」
蓮くんが私の目をまっすぐに見て言ってくれる。信じたい。信じたいけど。
「奈美には感謝している。葵に振られた僕の心を癒してくれた。好きになれると思った。好きになったと思った。でも・・・陽葵に会って思ったんだ。それは、愛じゃなかったのかもしれないと。
「感謝、なんて、してほしくないわよ」
オーダーしたアイスティーを一口も飲まないまま、奈美さんは席を立った。
「でも、愛じゃなかった、なんて言われたら、私、どうしたらいいの?教えてよ」
「奈美・・・ごめん」
「ごめん、っていうくらいなら、心変わりなんかしないでよ!」
奈美さんの顔は涙でぐしょぐしょだった。
「ごめん・・・僕にはもう、その涙をぬぐう資格がない」
「馬鹿!」
バシィィィン!奈美の平手打ちが蓮を打ちのめした。
「ごめん・・・何を言われても、奈美には戻れない。陽葵を愛してる」