初対面の男の人とルームシェアリング始めました。
2人は、そのままそのデパートの9・10階にあるレストラン街を歩いた。蓮くんのリングを感じながらつなぐ手もいいものだな、なんてぽぉ~っと陽葵が考えていると、蓮がひとつのレストランの前で立ち止まった。

「ミラノの空」

と看板には書いてあった。壁には、ミラノのドゥオモと真っ青なミラノの空が描いてあった。

「あいつら、元気にやってるみたいでよかったな」

「こんなきれいなドゥオモと空を毎日、見てるのかな」

「ここにする?」

と蓮くん。いいかもしれない。

「うん。気持ちだけは、2人と一緒」

「いらっしゃいませ。2名様ですか?」

「お客さま、ラッキーです。ドゥオモ ステンドグラス席の予約がたった今、1席キャンセルされて。お通しできますよ。」

満面の笑顔のウェイターさん。思わず笑顔ほころぶ2人。

(ラッキーだね!)

蓮が陽葵に耳打ちした。

席に通されると、椅子を引いてくれ、座らせてくれた。

「ご注文がお決まりのころ、参ります」

窓が、綺麗なステンドグラスになっている。街明かりに照らされ、キラキラ輝いている。

「きれい・・・」

陽葵は、それを見て言ったが。蓮はそれを見て微笑む陽葵の顔を見てつぶやいた。

「きれいだ・・・」

そのつぶやきの意味を知ってか知らずか、陽葵は蓮に言った。

「ねぇ、いつか、お姉ちゃんたちに会いに、ミラノに行こうよ」

「新婚旅行にね」

「そんなに待てない!!」

違う意味で・・・。

「僕が、そんなに待てないよ!そんな何年も、付き合ってから、のつもり?」

「え?」

「僕は、半年くらい付き合って、1年後には結婚したいと思ってる」

「それって・・・」

真っ赤になる陽葵、と言葉を発した蓮。

「うん。実質上のプロポーズ、かなぁ、っと。もちろん、ちゃんとしたプロポーズもするけど」

ぐいぐい来るなぁ、蓮くん。と思いつつ、

「嬉しい・・・」

と目を潤ませる陽葵だった。
< 18 / 27 >

この作品をシェア

pagetop