死なないあたしの恋物語
☆☆☆

それからの2年A組は見違えるくらい仲のいいクラスになった。


多少の喧嘩はあるけれど、互いに納得するまで話し合って仲直りができる。


ひとりぼっちでご飯を食べる子もいないし、学校にこられなくなる子もいない。


楽しい時間はあっという間に過ぎ去っていく。


夏休みも、体育祭も、文化祭も、新年も、あたしはクラスのみんなと一緒に過ごすことができた。


そして、4月。


3年生に進級する前日の日、あたしと洋人君は公園で会っていた。


洋介君との思い出がある、あの大きな公園だった。


「明日には俺の記憶から千奈が消えてるんだよな?」


2人で歩きながら言われて、あたしはうなづいた。


「そうだよ。みんなは3年生になるんだもん」


「わかってるはずなのに、なんか実感がないんだよなぁ」


洋人君はそう言って両手を頭の後ろで組んだ。


実感がないのはあたしも同じだった。


本当にみんなの記憶を消してしまうんだと思っても、なんだかピンときていない。


ただこの1年間が本当に、夢のように楽しくて、まだ夢を見ているような気がしている。
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