癒しの君と炎の王 2~炎の王は癒しの娘をさらに溺愛中~
狼達がいなくなると、巨大な狼は、シュワシュワと音を立てながら、再び先程の銀髪の男に戻った。
男はゆっくり二人の方へ向き直ると、地面に片膝を着き、右手を左肩に当て、
「先程、癒しの娘に命を救われた人狼です。恩返しをしたい。護衛代わりにお供することをお許しください。」
と、丁寧に挨拶をした。ソフィアは、それに対して、
「私達も、たった今、あなたに命を救われました。恩返しだなんて…お互い様です。どうか気になさらないでください。」
「分かりました。では、勝手に付いて行くことにします。」
と、言ってニッコリ笑うと、スッと立ち上がった。
「ええっ?」
アンはシルバーの勝手な言動に驚いて、声を出した。しかし、そんなことにはお構いなしで、シルバーは、二人の手を取るとグイッと引っ張り上げて立ち上がらせた。
「さて、今からどちらへ向かわれるのですか?」
と、シルバーが質問すると、
「街よ。夜の森は危険なので、1度街へ戻って、宿に泊まってから、明日の朝、出直します。」
と、ソフィアが答えた。シルバーが付いて行くことになり、アンは不服そうにしていた。
すると、シルバーはアンが持っていた旅行鞄を横からスッと手を伸ばし奪い取った。驚くアンに対して、シルバーはニッコリと微笑みながら、
「お持ちします。」
と、言うと、スタスタと先頭を切って歩き出した。アンが呆気に取られていると、ソフィアが小声で、
「悪い人じゃないと思うわ。」
とアンに耳打ちした。