癒しの君と炎の王 2~炎の王は癒しの娘をさらに溺愛中~
扉が閉まると、
「ソフィア様!なんでシルバーさんと同じ部屋なんてっ!」
と、アンがソフィアにまくし立てると、シルバーは二人の前を何食わぬ顔で通り過ぎながら、シューと音を立て、みるみるうちに最初に出会った時の体調1mほどの大きさの狼に変身した。
アンが呆気に取られて見ていると、狼はそのまま部屋の隅へ行き、ぐるぐるとその場で何回か回ってから、ぺたんと体を落とすと、小さく丸まって、自分の尻尾に鼻を埋め、目を閉じた。
その様子を見て、目を丸くして驚くアンに、ソフィアが、
「ね、アン、大丈夫でしょ?」
「こ、これは…?!」
「ニックも同じなんだけど、人間に変身すると魔力を消費しやすいの。魔力を温存する為に、眠るときは本来の姿になるの。」
「ソフィア様はご存じだったんですね。だったら最初からお教えくださいませ!びっくりするじゃないですか!」
「シルバーもジョンさんの前ではこの姿は見せられないもの。それに女性の部屋にノックも無しに入っては来ないだろうから、シルバーさんにとっては、この部屋が1番安心して眠ることが出来るはずだわ。」
「そういうことなら、私もぐっすり眠れそうです。」
「ふふふっ。」
と、ソフィアとアンは二人で笑った。
シルバーは目を閉じていたが、耳はピンと立ったまま、ピクピクと動き、二人の話を聞いていた。