癒しの君と炎の王 2~炎の王は癒しの娘をさらに溺愛中~
戦闘用馬車に揺られながら、ビアンカ女王は、ブツブツと文句を言っていた。

「ロズウェル王さえいなければ、私があの魔物を捕まえていたのにっ!なぜ、バスク王子は、4国全土に協力要請を出したのだ!?」

戦闘民族の血が流れるビアンカ女王は明らかに苛立っていた。

「なあ、アイス!どう思う?」

と、ビアンカ女王がアイスの方を見ると、アイスの顎からポタリと雫が落ちた。

「どうした?アイス?」

驚いたビアンカ女王は、アイスの頭のフードを掴むと、お構いなしにバッとめくった。

すると、アイスの両目から止め処なく涙が零れ落ちていた。

「アイス!どうしたのだ?」

先程の勢いは消え、ビアンカ女王は驚き、声をかけたが、アイスは手綱を緩めることなく、

「目に土埃が入っただけです。涙で流れますので…。お見苦しい所をお見せして申し訳ありません…。」

と謝った。明らかに嘘だと感じたが、

「…そうか。まぁ、よい。気をつけろ。」

とビアンカ女王はそう言うと、そっとフードを戻した。ビアンカ女王は、先程まであんなに怒って文句を言っていたのに、ブラスト城に着くまで、黙ったままアイスの横で座っていた。
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