癒しの君と炎の王 2~炎の王は癒しの娘をさらに溺愛中~
騎士団長は、続けて、

「しかし私としましては、自分の目で確認しないことには…。国王に報告致しかねます。何とか捕らえた魔物を確認させていただけないでしょうか?」

バスク王子は、ふうっと溜め息をつくと、

「分かった。聞いてみよう。返事が来次第、貴殿に知らせる。」

「ありがとうございます。」

と、騎士団長が礼を言うと、バスク王子は近くにいた執事を傍らに呼び寄せ、

「魔女のベルデを呼べ。」

と、命令した。


その様子を横目で見ながら、騎士団長は、席を立ち、ナフキンで口元を拭くとそのナフキンを椅子に無造作に置いた。そして、バスク王子とビアンカ女王に向かって、

「報告書をまとめたいので、今宵はこの辺りで。先に席を立つことをお許しください。では失礼致します。」

と、丁寧に言うと再び扉の前で振り返りお辞儀をしてから、広間を出て行った。

扉が閉まるのを確認すると、バスク王子が、ビアンカ女王に話し始めた。

「水の国は、昔、魔物の異種族婚でキメラが誕生して、そのキメラが母親を殺し、人や動物、他の魔物までも皆殺しにし、水の国を壊滅寸前まで追い込んだんだ。その歴史があるから、それ以来、水の国は魔物には過敏になっている。だから、彼らの昼間の態度も許してやってほしい。」

「許すも何も…何とも思っていない。ところで、そんな状態なら、水の国には、魔物はいないのか?キメラはどうなったんだ?」

「水の国の魔物は絶滅した。キメラがどうなったかは知らないが、水の国が平和になっているということは、キメラはもういないんだろう。」

「なるほどね…。」

と、言うと、ビアンカ女王はワインをグビッと飲み干した。
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