王宮女官リリィ外伝〜あの子はだあれ?



確かに、クママルの言うことも一理ある。


見たところこの一見不毛なこの大地だが、メイフュがざっと見渡した時はそれほど地質が悪いとは思えなかった。


地下水を汲み上げて土の毛細血管現象を利用した灌漑法を使えば、ずいぶんとましに作物を栽培出来るだろう。


あとは強すぎる日光への対策や、風の問題も防風林や他の植物を共に植えれば解決できるハズだ。


メイフュは見聞きした情報をフルに使い、あっという間にそう結論づけた。


しかし。


それを立案するにしても、ひとつどころではない問題点がある。


この土地を治める人々への承諾や各種の許可を得るため申請したりする手間。そして時間や人手などだ。


こういった自然を相手にする事業はどうしても時間がかかる。


1日や2日では済まない。


最低限1ヶ月。長ければ数ヶ月は滞在せねばならない。


その間にどこに泊まるか、自分達の食料はという現実的な問題もある。


やはりクママルはまだまだ幼い。思いつきでものを言う。


しかし。


パンプキンパイを食べ終わったクロロルが、いきなり立ち上がった。


何をするかと思えば。


メイフュに素早く近づき、目にも留まらぬ速さでポケットからかすめ取ったのは。


老婆がくれたキャンディ。


クロロルはそれをかまどの鍋に放り込み、中身を匙でかき混ぜ始めた。


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