王宮女官リリィ外伝〜あの子はだあれ?
ドキドキした。
もちろんキュリオの嘘は他の子ども達には即座に見破られたが、キュリオはこう思った。
“ぼくがお母さんを守るんだ”
母親が苦労しながら自分を育ててくれたのは知ってる。
両親が揃った他の子どもでさえ、その日暮らしが精一杯なのだ。
仕事がないこの土地でキュリオを育てるため、母親はなんでもしてくれた。
炎天下で男性に混じり力仕事を。時には汚いグレーゾーンな仕事を。
流行り病の時は誰もが嫌がる死体処理の仕事まで。
周りからいくら蔑まれようと、負けずにたくさんの愛情をくれた。
それはキュリオも感謝してるし、ありがたく思う。
しかし。
世間の冷たさは嫌になるほどで、キュリオは幼い時から何らかの方法で母親を守りたいと考えていた。
母子家庭に対する風当たりはあまりに強い。
母親が密かに涙する姿を見てきたキュリオは、彼女を護るために嘘をつくようになった。
“僕のお父さんはお金持ちでいつか迎えに来てくれるから”
子どもながらの精一杯のウソ。
いつかそうなると信じて、キュリオはそう口にし続けていた。
自分の父親に会いたくて。
母親が楽になってほしくて。