王宮女官リリィ外伝〜あの子はだあれ?
「おまえが嘘つきだった時は、おまえの母ちゃんも嘘つきだってみんなに言いふらしてやるよ」
キュリオはからかわれていると知りながら、我慢も限界だった。
自分のことはともかく、母親の悪口を言われるのは我慢ならない。
「か……母ちゃんは関係ないだろ! 取り消せっ!」
キュリオは震えた声を張り上げ、拳を握りしめて詰め寄った。
「はあ? 嘘つきの親も嘘つきだろ?嘘つきキュリオ!」
「そうだ、そうだ! 嘘つきキュリオ! おまえの母ちゃん嘘つきだあ」
「嘘つき親子は嫌われる~」
子どもたちは口々にキュリオをからかい、周りを取り囲んでおどけ踊り出した。
キュリオの堪忍袋の緒がぷつりと切れた。
「母ちゃんは嘘つきなんかじゃない! 言い直せえっ!!」
キュリオは頬を紅潮させ、目に涙を浮かべて一番体格が大きな子どもに飛びかかった。
「なんだよ、いてえっ!!」
腕力でかなわないと知っていたので、キュリオはガキ大将の腕に思いっきり噛みついた。
歯の強さだけは自信がある。
案の定ガキ大将はキュリオを振り払おうとするが、キュリオは離すつもりはなかった。
こうなれば意地だ。