王宮女官リリィ外伝〜あの子はだあれ?
しかし、ガキ大将も負けてはいない。
キュリオをポカリと殴りつけ、他の子どもに命令した。
「おまえら、キュリオをつかまえろ!」
それとほぼ同時に数人の子どもがキュリオに飛びかかった。
「離せ! バカ野郎」
数人に服を引っ張られても、決して離すもんかと顎に力を入れる。
バタンバタンと大騒ぎになっているさなか。
「止めろ」
制止の声が入り、子どもたちは思わず動きを止めた。
別に怒鳴りつけられてもいないし、静かなよく通る声だっただけだ。
しかし。
その声は、有無を言わさぬ圧倒的な力があった。
子どもたちが声をした方を見遣れば、フードを目深に被った男性が近づいて話した。
「男ならば複数で1人と卑怯な真似をするな。1対1で正々堂々と相手になれ」
きっぱりと言い切ったその男性は、思わず道をあけた子どもたちひとりひとりに声をかけて。
最後にはキュリオに辿り着いた。
「君たち、お小遣いをあげよう。せっかくのハロンの日に揉めたりするのはよくない。だから今日は仲良くしなさい」
男性は懐から小袋を取り出し、手のひらに出したのは。
銀色に光り輝く20カロン硬貨だった。