王宮女官リリィ外伝〜あの子はだあれ?
(あれま)
その様子を遠巻きに見ていたのが、クママルとメイフュたちだった。
キュリオをからかう声が聴こえたから、助けようと駆けつける途中にその場面に遭遇したのだ。
フードを目深に被ったのはかなり背が高く、がっしりとした体型で声も深みがある。
壮年男性というのは間違いない。
彼は助けたキュリオに話しかけ、どうしてか一緒にこちらに向かってきた。
「うわわ、メイフュどうしよう!?」
クママルは慌てているが、メイフュはなぜかじっとその2人を見たまま動かない。
「ね、メイフュ」
クママルは痺れを切らしてメイフュの腕を揺するが、彼はびくともせずに黙ったまま。
しばらくして
「黙ってろ」
と言い、クママルを連れてキュリオの家に戻った。
「今からキュリオの客が来る」
メイフュはキュリオの母親にそれだけ教え、慌てさせた。
「え、キュリオがですか!? ま、まあどうしましょう」
突然の来客などめったにないからか、慌てふためく母親にメイフュは教えた。
「さっきクロロルが作ったパンプキンライスを出せばいい。ハロン祭りではそれが一般的なもてなしだ」
メイフュの提案に、母親はホッとした顔をして鍋をかき混ぜる。
「そ、そうですわね。これを出せば……あなた達には本当に感謝しますわ」