婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました
「来ているようだが……お前がなぜ、そんなにあいつを気にかける?」
「えっと、気にかけているわけでは」
オディーリアはレナートから目を背けた。白い声を取り返すために彼に会いたいのだと正直に話してみようかと思いもしたが、やっぱりやめた。レナートが是と言うはずがない。
「あいつが心配か?」
レナートはオディーリアの顎をぐいつかむと、自分のほうへ向かせた。射貫くようなまっすぐな眼差しが痛いほどだ。オディーリアは口ごもった。心配などという殊勝な気持ちはまったくないが、いま彼に死なれては非常に困る。生きて喋れる状態の彼に会いたいのだ。解毒方法を教えてもらうために。
「心まで縛る気はないが……あの男を思うお前を見ていたくはない」
なにかを誤解してしまったらしいレナートはふいとオディーリアに背を向けて天幕を出ていく。
「あ……違うのに……」
追いかけるべきか迷ったが、『全然気にしていない』と言えばそれは嘘になる。レナートに嘘をつくのも嫌で、オディーリアは結局彼を追わなかった。
(白い声を取り戻したら、正直に話して怒られよう)
「えっと、気にかけているわけでは」
オディーリアはレナートから目を背けた。白い声を取り返すために彼に会いたいのだと正直に話してみようかと思いもしたが、やっぱりやめた。レナートが是と言うはずがない。
「あいつが心配か?」
レナートはオディーリアの顎をぐいつかむと、自分のほうへ向かせた。射貫くようなまっすぐな眼差しが痛いほどだ。オディーリアは口ごもった。心配などという殊勝な気持ちはまったくないが、いま彼に死なれては非常に困る。生きて喋れる状態の彼に会いたいのだ。解毒方法を教えてもらうために。
「心まで縛る気はないが……あの男を思うお前を見ていたくはない」
なにかを誤解してしまったらしいレナートはふいとオディーリアに背を向けて天幕を出ていく。
「あ……違うのに……」
追いかけるべきか迷ったが、『全然気にしていない』と言えばそれは嘘になる。レナートに嘘をつくのも嫌で、オディーリアは結局彼を追わなかった。
(白い声を取り戻したら、正直に話して怒られよう)