婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました
「ふぅ。イリムの剣はただのアクセサリーだものね」
彼は昔からそうだった。本人は巧妙に隠しているつもりのようだが、彼はそもそも身体能力が高くない。はっきり言うと、運動音痴なのだ。予想通りではあったが、オディーリアは頭を抱えた。ロンバル軍の本営にいる彼に会うのはなかなか難しいだろう。ロンバル兵は自分を覚えていて迎え入れてくれるかもしれないが、そこに辿りつくまでにナルエフ兵に見つかまってしまうだろう。この状況でロンバル側と接触しようとしているなんて、スパイだと疑われて文句は言えない。そうなれば、レナートの責任問題にもなる。
『あなたの失態はそのままレナート殿下の弱みになる』
いつかハッシュに言われた言葉を思い出す。今回の戦にはクリストフも来ている。レナートの評判を落とすような真似は絶対にできない。
「歯がゆいなぁ。すぐ近くにいるのに」
「どうしたのよ、オデちゃん。難しい顔しちゃって」
今回も一緒に来てくれたクロエがひょいとオディーリアの顔をのぞきこむ。
「ううん。なんでもないの。それよりクロエは大丈夫?疲れてない?」
「全然! さっき、アスランに包帯の巻き方がマシになったと褒められたのよ。オデちゃんから戦場の女神の座を奪っちゃう日も近いかもしれないわ」
オディーリアの口元が自然と緩んだ。いつでも、どんなときでも明るいクロエをオディーリアは心から尊敬している。
彼は昔からそうだった。本人は巧妙に隠しているつもりのようだが、彼はそもそも身体能力が高くない。はっきり言うと、運動音痴なのだ。予想通りではあったが、オディーリアは頭を抱えた。ロンバル軍の本営にいる彼に会うのはなかなか難しいだろう。ロンバル兵は自分を覚えていて迎え入れてくれるかもしれないが、そこに辿りつくまでにナルエフ兵に見つかまってしまうだろう。この状況でロンバル側と接触しようとしているなんて、スパイだと疑われて文句は言えない。そうなれば、レナートの責任問題にもなる。
『あなたの失態はそのままレナート殿下の弱みになる』
いつかハッシュに言われた言葉を思い出す。今回の戦にはクリストフも来ている。レナートの評判を落とすような真似は絶対にできない。
「歯がゆいなぁ。すぐ近くにいるのに」
「どうしたのよ、オデちゃん。難しい顔しちゃって」
今回も一緒に来てくれたクロエがひょいとオディーリアの顔をのぞきこむ。
「ううん。なんでもないの。それよりクロエは大丈夫?疲れてない?」
「全然! さっき、アスランに包帯の巻き方がマシになったと褒められたのよ。オデちゃんから戦場の女神の座を奪っちゃう日も近いかもしれないわ」
オディーリアの口元が自然と緩んだ。いつでも、どんなときでも明るいクロエをオディーリアは心から尊敬している。