婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました
 レナートははたと気がついたように言う。

「そういや、お前の名はなんと言う?」
「オディーリアと申します」

レナートは馬上のオディーリアに手を伸ばし、さらりと彼女の頬を撫でた。

「オディーリア。お前の笑顔はたまの晴れと同じだな」
「はい?」

 レナートの発言は時々、よくわからない。

「滅多に見れないものには、価値があるということだ。さぁ、アーリエまではあと少しだ。行こうか」

 そう言い置くと、馬に飛び乗りあっと言う間にオディーリアを置き去りにした。

「わっ。えっと、待ってください」

 オディーリアは慌てて彼の背を目で追った。彼についていくことになんの意味があるのか、自身にとっていいことなのか、さっぱりわからなかったが……なにかに背を押されたように、オディーリアは馬を走らせた。

 
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