婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました
「帰りたいと強く願うような場所はありません。普通はもっと故国への思いがあるものなんでしょうけど」
ロンバルが嫌いなわけではない。だが、どうしてもあの国に留まりたいと思うほど、強くオディーリアを引き止めるものもなかった。
「国に思いがある人間なんていないだろ。みんな、そこにいる人に思いがあるだけだ。家族は? あのアホの婚約者以外で」
「家族はいません」
「死んだのか?」
「いえ、幼い頃に別れたきりでその後は一度も会っていないので」
正直、もう顔もうろ覚えだ。たとえ道ですれ違っても、互いに気がつきもしないかも知れない。
オディーリアは王太子の婚約者という、ロンバルの女性の最高位にまでのぼりつめたが、元々は貧しい平民の生まれだ。〈白い声〉を持っていたことから、聖女になるため国内あちこちにある聖教会のひとつに送られたのだ。両親や兄弟とはそのときに別れたきりだった。
ロンバルが嫌いなわけではない。だが、どうしてもあの国に留まりたいと思うほど、強くオディーリアを引き止めるものもなかった。
「国に思いがある人間なんていないだろ。みんな、そこにいる人に思いがあるだけだ。家族は? あのアホの婚約者以外で」
「家族はいません」
「死んだのか?」
「いえ、幼い頃に別れたきりでその後は一度も会っていないので」
正直、もう顔もうろ覚えだ。たとえ道ですれ違っても、互いに気がつきもしないかも知れない。
オディーリアは王太子の婚約者という、ロンバルの女性の最高位にまでのぼりつめたが、元々は貧しい平民の生まれだ。〈白い声〉を持っていたことから、聖女になるため国内あちこちにある聖教会のひとつに送られたのだ。両親や兄弟とはそのときに別れたきりだった。