婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました
 思い出してみれば、あのとき両親は聖教会から多額の金をもらえると大喜びしていた。

(売られるのは、イリムが初めてじゃなかったんだわ)

「ロンバルでは不思議な力を持つ者をそのように組織化しているんだな」
「そうです。〈白い声〉は特に重宝されます」

 聖教会は〈白い声〉を持つ者を集め、教育と訓練を行う組織だ。力さえあればどんな身分の者でも入れるが、昔から〈白い声〉を持って生まれてくる者は貴族階級に多いのだ。
 だからオディーリアは浮いた存在だった。平民とは思えぬ美貌だったのも、疎まれる原因だったろう。
 聖教会での訓練は厳しく、あまり楽しい思い出ではない。だが、訓練の結果、オディーリアの治癒能力は飛躍的に向上し聖女の地位を得て、ロンバルの首都メレムに招かれるまでになったのだ。

「まぁ、その力もすっかり失ってしまったわけですが……」

 オディーリアは自虐的な笑みを浮かべた。
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