婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました
「でも、訓練は大切なんです。力は生まれつきのものですが、その力をどこまで伸ばせるかは訓練次第ですから」
「ナルエフにも不思議な力を持つものはいるが、我が国ではどちらかというと異端扱いされているのが現状だな。ところで……」
「はい?」

 レナートはオディーリアの喉にそっと触れた。

「毒を飲まされたと言ったな。その声はそのせいか?」

 オディーリアははっとしたように唇をおさえた。

「すみません、聞き苦しい声で……」

 現在のオディーリアの声は醜くしゃがれている。聞くほうもきっと気分が悪いだろう。あまり喋らないほうがいいだろうか。オディーリアはそんなふうに思ったが、レナートは笑って首を振った。

「俺は女のキンキンした声が苦手だ。そのくらいが丁度よい」

 薄々気がついていたが、レナートはとても善良な人間なのだろう。これまでオディーリアの周りにはいなかったタイプだから、どう対応していいかわからず戸惑ってしまう。
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