婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました
『そういうことでは、ありません』
いつもの彼女なら少し怒りながらそう答えたことだろう。だが、今夜のオディーリアは違った。
「はい、離れたくないです。あなたのいない城では、私はまたすることがなくなってしまう」
レナートのいない城で暮らすなど、もはや考えられなかった。いつ帰ってくるのかも……いや、本当に帰ってくるかもわからない彼を待ち続けるなんて耐えられない。そう思った。
レナートはものすごく驚いた顔をしている。開いた口が塞がらないようだった。
「お前の口からそんなかわいい台詞が出てくるとは……」
「はい、おそらく最初で最後です。ですから、どうか……連れて行ってください」
レナートは目を閉じ、腕を組み、長いこと思い悩んでいた。
「運が悪けりゃ、死ぬかも知れないんだぞ」
「運が悪ければ、この城にいても雷に打たれて死にます」
オディーリアはふっと、薄く笑んだ。
「その心配は無用です。私の命はイリムに売られたあのときに、終わっていてもおかしくなかった。死ぬ覚悟はとうにできています」
レナートじゃなければ、とっくに殺されていただろう。自分の命など、いまさら惜しくはなかった。
彼は閉じていた目をかっと見開くと、オディーリアを見据えてにやりと笑った。
「わかった。では、オディーリア。300デル分の働き、この戦でしてもらおうか」
いつもの彼女なら少し怒りながらそう答えたことだろう。だが、今夜のオディーリアは違った。
「はい、離れたくないです。あなたのいない城では、私はまたすることがなくなってしまう」
レナートのいない城で暮らすなど、もはや考えられなかった。いつ帰ってくるのかも……いや、本当に帰ってくるかもわからない彼を待ち続けるなんて耐えられない。そう思った。
レナートはものすごく驚いた顔をしている。開いた口が塞がらないようだった。
「お前の口からそんなかわいい台詞が出てくるとは……」
「はい、おそらく最初で最後です。ですから、どうか……連れて行ってください」
レナートは目を閉じ、腕を組み、長いこと思い悩んでいた。
「運が悪けりゃ、死ぬかも知れないんだぞ」
「運が悪ければ、この城にいても雷に打たれて死にます」
オディーリアはふっと、薄く笑んだ。
「その心配は無用です。私の命はイリムに売られたあのときに、終わっていてもおかしくなかった。死ぬ覚悟はとうにできています」
レナートじゃなければ、とっくに殺されていただろう。自分の命など、いまさら惜しくはなかった。
彼は閉じていた目をかっと見開くと、オディーリアを見据えてにやりと笑った。
「わかった。では、オディーリア。300デル分の働き、この戦でしてもらおうか」