婚約者に売られたドン底聖女ですが敵国王子のお飾り側妃はじめました
その時だった。ざわざわしていた場が、水を打ったようにしんと静まり返る。みなが一点に視線を向けている。
「あ、女神様のご登場だ」
マイトの言葉に、アスランも吸い寄せられるようにそちらに目を向けた。
今夜も凛々しく美丈夫なレナート将軍にエスコートされ、ひとりの女が姿を見せた。
アスランは思わずごくりと息を飲む。
とてもこの世のものとは思えない美貌だった。天から舞い降りてきたなんて嘘くさいと思っていたが、彼女ならきっとそうなのだろう。むしろ、人間の女から産まれたというほうが信じ難いくらいだ。
彼女がふわりと微笑むだけで、全身に力がみなぎるのを感じた。
「アテナ……だ」
アスランは恍惚の表情で、つぶやいた。そんな彼の頬を、マイトがぺしっと叩く。
「ダメだよ、アスラン。あの子は将軍の宝物だから。首が飛ぶよ。あ、代わりにクロエならどうかな?」
「えぇ、将軍のって……」
がっくりと肩を落としたアスランは、おかしな女ーークロエに目を向ける。そして、憮然とした顔で言い放つ。
「本物は……やっぱ違うな」
なぜ彼女をアテナかも……なんて思ったのか。勘違いにも程があるだろう。
「ちょっとー! 今のどういう意味よ?」
アテナとは似ても似つかないクロエの怒鳴り声を聞きながら、アスランは尊敬していたレナート将軍を、初めて妬ましく思ったのだった。
「あ、女神様のご登場だ」
マイトの言葉に、アスランも吸い寄せられるようにそちらに目を向けた。
今夜も凛々しく美丈夫なレナート将軍にエスコートされ、ひとりの女が姿を見せた。
アスランは思わずごくりと息を飲む。
とてもこの世のものとは思えない美貌だった。天から舞い降りてきたなんて嘘くさいと思っていたが、彼女ならきっとそうなのだろう。むしろ、人間の女から産まれたというほうが信じ難いくらいだ。
彼女がふわりと微笑むだけで、全身に力がみなぎるのを感じた。
「アテナ……だ」
アスランは恍惚の表情で、つぶやいた。そんな彼の頬を、マイトがぺしっと叩く。
「ダメだよ、アスラン。あの子は将軍の宝物だから。首が飛ぶよ。あ、代わりにクロエならどうかな?」
「えぇ、将軍のって……」
がっくりと肩を落としたアスランは、おかしな女ーークロエに目を向ける。そして、憮然とした顔で言い放つ。
「本物は……やっぱ違うな」
なぜ彼女をアテナかも……なんて思ったのか。勘違いにも程があるだろう。
「ちょっとー! 今のどういう意味よ?」
アテナとは似ても似つかないクロエの怒鳴り声を聞きながら、アスランは尊敬していたレナート将軍を、初めて妬ましく思ったのだった。