7歳の侯爵夫人
元々子爵家の次男で継ぐ爵位もなかったオレリアンは、騎士として身を立てるつもりであった。
それが、突然嫡子のいなかった伯父の養子として伯爵家に入ることになり、その後伯父の急死で伯爵家を継ぐことになった。
そして、伯爵家を継いですぐに公爵令嬢との縁談だ。

侯爵に叙爵されたのは、元王太子の婚約者の嫁入り先にしては落差があり過ぎるとの王家の判断であり、押し付けだ。
寧ろオレリアンは騎士として身を立てたかったのであり、伯爵位を継いだのは伯父の急死でやむを得なかったから。

しかし、瞬く間に侯爵にまでなったオレリアンに、世間の目は冷たい。
それまで味わったことのない嫉妬、蔑みの目に、オレリアンは屈辱を覚えた。
爵位に興味のなかった彼にとって、叙爵なんてかえっていい迷惑だったのだ。

そして、爵位と共に与えられた、冷たく、自分を見下すような高位貴族出身の妻。
だから…、オレリアンにとっては最初から愛のない押し付けられた花嫁であり、愛そうとする努力も必要ないように思われたのである。
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