もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
一方のエリックは、カーティスの部屋に足を運び、わかっていた現実を確認する。
ベッドに丸まっている薄い灰色の聖獣。今は眠っているが、体調は格段にいいのは魂を通じて肌で感じていた。
広くはない室内全てに目を向けてみても、ほかには誰もいない。
「当たり前だな。自ら手放したのだから」
あんなにも小柄なマリーがただひとりいないだけで、部屋はやけに広く感じた。
マリーが城を出て数週間経つ。推薦先からはとても優秀な人材だとの報告を受けている。動物に囲まれ、満足げな彼女の表情が目に浮かぶ。
これで良かったのだ。
何度目になるかわからない言葉を、幾度となく自分に言い聞かせる。
薄々感じていた懸念は、ワイアットの奇行で簡単に露呈した。
聖獣の加護はマリーを守ってきたが、皮肉にも加護のせいでマリーに危害が及ぶ恐れがあった。
イーサンがマリーを憂いた発言も、エリックの決断を後押しした。
『マリー様は魔力が強いのですから、それなりにご自身で身を守る術をお持ちだとばかり』
マリーに危険が及ぶのなら、番の契りを解き、マリーを自由に……。
「囚われたのは俺か」
いつの間にか起きていたカーティスは、嘲笑するエリックにチラリと視線を投げると、フンッと鼻を鳴らし、また丸まってしまった。