もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
「着いたよ」
降ろされたのは、王都の外れの寂しい田舎街。こういう街では、大型の動物に農作業を手伝わせている。
手伝った見返りに、食料を与えたり癒し魔法をかけたりして、お互い助け合い共存しているのだ。
田舎街の更に端。畑の広がる場所には、農機具庫のような小屋があった。今回の往診依頼は、この小屋に怪我をした大型動物を休ませているようだ。
「行って話を聞いてみよう」
先輩が先導を切って歩き出す。
近付けば近付くほど、小屋は小さかった。
果たしてこんな小さな小屋に、大型な動物を休ませられる?
どことなく不審に思い、辺りを見渡す。
山に囲まれた小さな田舎街。小屋は周りを木々で覆われていて薄暗く、どことなく不気味だ。
「先輩? 少し、待ってください。おかしくないですか?」
「なに? どうした」
先輩が振り返って立ち止まったそのとき、木の陰から突然人が現れて肝を冷やす。
「ひっ」
短い悲鳴を上げると、現れた男性は穏やかに話し始めた。柔和ではあるものの、ねっとりと絡みつくような嫌な感じだ。