もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
すると男たちは、ますます楽しげに口の端を上げる。なにが楽しいのか全然わからない。ヒグマやほかの動物たちも鎖で繋がれ、体には鞭を打たれた痛々しい跡があった。
「動物たちを治療させて」
「いや、王政を治療してもらう。あんたなら、それができるはずだ。そのために、俺たちと共に来てもらう」
「だから私にはそんな権限は」
男は、マリーの言葉を遮って言う。
「第三王子ご執心のマリー様。あんたを餌にボンクラ王子と交渉するのさ」
「マ、マリーが王子の⁉︎」
思わず声を上げた先輩をヒグマが「グルル」と威嚇したために、先輩は顔を青くして再び黙ってしまった。
ああ。もう! このまま生きて帰れても、こんな風ではまた先輩があることないこと言いふらすんだわ。
頭痛がしそうになるけれど、そんなのんきな心配をしている場合ではないようだ。一歩、また一歩と男はマリーに近付いてくる。
「王子と、なにを交渉するんですか?」
後退りたいけれど、動いたら飛びかかられそうで微動だにできない。