もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

「むやみに戦争をやめるな。火種はいくらでも作れる。隣国との領土問題は、力で捻じ伏せてこその強国ユラニス王国だ」

 戦争をやめるな、だなんて。

「もしかして、武器商人?」

 エリックに聞いた話とどことなく一致した。

「へえ。ただのか弱い治療士のお嬢ちゃんかと思っていたが、なかなか頭が切れるらしい」

 考えが当たっていたって、ちっとも嬉しくはない。

 そもそもマリーは、戦争に動物を巻き込むのは反対だ。

 戦獣は強い騎士に倒され、服従する。その後、(しつ)けられ戦士と共に戦争へと駆り出されて行く。

 動物は心の中では、不満なんじゃないかなあ。戦争なんて、したくないんじゃないかな。

 野戦病院で怪我をした戦獣を治療しながら、ずっとそう思っていた。それでも戦獣は騎士との絆があり、助け合って戦っていた。

 それが、この人たちはどうだろう。無理矢理従えさせているようにしか見えない。

「しなくていい戦争があるのなら、話し合いで解決した方が、人も動物も傷つかなくていいじゃないんですか?」

 真っ直ぐな瞳で見つめると、男は小馬鹿にしたように卑しく口を歪めて笑う。
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