もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

「とにかく、治療させてください!」

 頑として譲らないマリーに呆れた眼差しをくれてから、カーティスはゆっくりと下降していく。

 白銀の翼を優雅に動かす様は、聖獣の名に相応しい。

 良かった。エリック様の魔力が回復したから、カーティスも本来の成長を遂げたんだわ。

 地上に近付くと、エリックはマリーを抱えたまま、ひらりと舞い降りた。まるで重力がなくなったみたいに。

 魔力を取り戻したエリック様は、天女にでもなられたのかしら。あ、天女は女性か。

 まだ慣れないエリックやカーティスの変化に喜びを感じつつも、今やるべき問題と向き合う。

 目の前の弱った大型動物。治療して元気になっても、空腹までは満たせない。元気にしたがために暴れ出し、再び襲われては笑い話にもならない。

 マリーは虚な動物の瞳を見つめ腹を据えると、手をかざした。

「カタルシス」

 今までにない量の魔力を込めるマリーの周りは、魔力の流れに引っ張られ小石が浮かび上がる。風が起こり気流が生まれ、服がはためく。

 両手から発せられる淡い光は、次第に強く眩しく辺りを包んだあと、フッと途切れて消える。

 マリーはふらりと倒れそうになる(すんで)のところで、エリックに支えられた。
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