もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

 ビュンと風を切る音がしてマリーは身を縮めるが、エリックは変わらず悠然としている。

 そして見えない壁に矢が弾かれ、初めてマリーたちを狙って飛んできていたのだと知る。オーラかなにかで、王子の周りは守られていた。

「痛い目に遭いたいらしい」

 抑えた低い声から静かな怒りを感じ、恐ろしさがより一層増した気がした。

 誰よ! 余計なことした奴!

 王子のすぐ近くで未だ健在の冷酷ぶりに触れ、助けられている側なのに、涙が出そうだ。

 片手を前にかざし呪文を発したあと、男たちに向かって王子は火を放った。

「わああ」

 凄まじい炎は、すぐにでも近くの山一体を燃やす勢いだ。

 男たちと離れた木に引っかかっている先輩も、あわあわしたまま逃げられない。

「エリック様! あれでは焼け死んでしまいます」

 先輩が道連れになるのは、もちろんいいわけがないし、男たちもなにも殺すことはない。
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