もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

 懇願しても、エリックは消す素振りは見せない。

「マリー。よく見てみろ。お前ならわかるはずだ」

 なにを言っているの? 悪者への制裁を目に焼き付けろとでも?

 半泣きの顔で、恐る恐る燃え盛る火の海に視線を移す。するとエリックの言わんとする片鱗を感じ取れた。

「……幻覚?」

 幻覚だとわかると、熱さを感じないことに気付く。しかし持っている魔力の違いなのか、男たちには本物の炎に見えるようで、もがき苦しんでいる。

 先輩も冷静になり幻覚とわかったのか、もがいてはいない。ただ、引っかかった木からは変わらず降りられずにいるけれど。

「本物の火も出せるが、そうした方が良ければそうしよう」

「いえ。結構です‼︎」

 冗談じゃ終わらなさそうだから、うっかり頷けない!

 満足げに腕組みをするエリックが、恐ろしい発言を口にする。

「灰にしてやった方が、世の中のためだが」

 冷や汗が背筋を伝い、首をブルンブルンと横へ振る。
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