もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

 エリックはなにを思ったか、木に引っかかったままの先輩に質問を向ける。質問というよりも、断定的な言い方で。

「マリーはこのまま俺が連れ帰る。異論はあるか?」

 先輩は突然の問い掛けに声もなく両手を前で組み、首を横に振った。誓って異論などありませんと言いたげに。

 この冷血王子を怒らせれば、本物の火を出しかねないぞと、可哀想なくらい怯えている。

 そもそもエリックは異論など受け付けるつもりは到底ない態度で、再びマリーをカーティスの背に乗せる。

「ま、待ってください。私、泊まりの予定で仕事に来ています」

「ほう。あいつと同じ宿に、そんなに泊まりたかったのか」

 凍えるような冷たい眼差しを向けられ、恐怖とともに腹立たしさも感じた。

 自分の厚意を無下にされるのを許さないだなんて、どんな傲慢男なの⁉︎
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