もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

「そうだな。わかりやすく、もう一度噛みつこうか」

「なっ。なんでそうなるんですかー!」

 考えなしに距離を詰めた自分の短絡さを呪う。

 麗しの王子の美しい顔は妖しい笑みを作り、見惚れそうな端正な面立ちから、とんでもない言葉が発せられる。

「心配するな。痛くならないよう優しくする」

「ちょっ! なんだか卑猥(ひわい)です!」

 ボッっと音が出るくらい、顔からつま先まで赤くなる。

「ほう。全くの初心かと思っていたが、知識がないわけではないのか」

「あのっ。声が小さくてなにを(おっしゃ)っているのか」

 にっこりと口角を上げるエリックに、得体の知れない恐怖を感じる。

「あ、あの。今からでも遅くないので、一撃でヒグマに食われた方が安らかに眠れるんじゃ……」

「なにを言うか。二度と離す気はない」
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