もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

「私が伝言を受け取ったのは、エリック様がとうに城を出た後にございます」

「マリーを危険に晒すわけにはいかないだろう?」

「それは、そうにございますが……」

 人命を天秤にかけられ、イーサンも言葉を濁す。

 どう考えても、私の命より王子の身の安全の方が最優先でしょ‼︎

 マリーの心の声は届かないまま、エリックはイーサンからマリーに向き直り真っ直ぐに見つめ、話し出す。

「すまなかった。マリー。俺の元から離すのがマリーの安全のためだと思っていたが、既に手遅れだった」

「手遅れ……?」

 エリックの言葉を受け取り、イーサンが説明をする。

「マリー様は第三王子エリック様と親しい関係にあると、良くも悪くも水面下で広まってしまいました」

 良くも悪くもって、その噂にいい面ってあるんですかっ⁉︎

 イーサンにツッコミを入れる勇気はなく、心の中で噛み付いていると、イーサンはエリックに釘を刺す。

「殿下、この話は今度でも構いませんから、ほかの滞っている書類に目を通していただきたいのですが」

 長くなりそうだと思ったのか、こんなところで油を売っているなと言わんばかりの態度には、マリーも賛成だ。

 王子に相応しい仕事や世界に戻るべきだ。
 今はもう、魔力が強大なだけの治療士の力は必要ないのだから。
< 134 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop