もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
「私が伝言を受け取ったのは、エリック様がとうに城を出た後にございます」
「マリーを危険に晒すわけにはいかないだろう?」
「それは、そうにございますが……」
人命を天秤にかけられ、イーサンも言葉を濁す。
どう考えても、私の命より王子の身の安全の方が最優先でしょ‼︎
マリーの心の声は届かないまま、エリックはイーサンからマリーに向き直り真っ直ぐに見つめ、話し出す。
「すまなかった。マリー。俺の元から離すのがマリーの安全のためだと思っていたが、既に手遅れだった」
「手遅れ……?」
エリックの言葉を受け取り、イーサンが説明をする。
「マリー様は第三王子エリック様と親しい関係にあると、良くも悪くも水面下で広まってしまいました」
良くも悪くもって、その噂にいい面ってあるんですかっ⁉︎
イーサンにツッコミを入れる勇気はなく、心の中で噛み付いていると、イーサンはエリックに釘を刺す。
「殿下、この話は今度でも構いませんから、ほかの滞っている書類に目を通していただきたいのですが」
長くなりそうだと思ったのか、こんなところで油を売っているなと言わんばかりの態度には、マリーも賛成だ。
王子に相応しい仕事や世界に戻るべきだ。
今はもう、魔力が強大なだけの治療士の力は必要ないのだから。