もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

 次の日。野戦病院のテントでは、マリーの情けない声が響き渡る。

「あぁー。あんな幸運二度と巡ってこないのに、どうして素直に帰っちゃったかなあぁああ」

 治療して元気になった動物に避けられるのが常で、どこか上から目線の偉そうな態度で接してこられたのは初めてだった。

 だから、全く気づかなかったのだ。
 マリーに怯えず触れてきて、その上、たぶんマリーからも触れられたということを。

 気づいたのは今朝になってからで、それでこの有様である。

「動物好きなマリーが珍しいな。毛がない動物だった?」

「いいえ。極上のもふもふのふわふわでしたッ!」

「ハハッ。それは惜しかったな」

「はあぁあ。千載一遇のチャンスぅー」

 魂が口から抜け出そうな声を出し、テーブルに突っ伏すマリーを先輩たちは呆れ半分、憐れみ半分で眺めている。

 そこへなんだか外が騒がしくなり、それからテントの入り口に数名の男性が現れた。

 昨晩のデジャヴの人数が多いバージョンとでも言うべきだろうか。
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