もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
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マリーを助けに向かう少し前、エリックはカーティスの部屋に滞在していた。カーティスの体調はすこぶる良くなっていたが、一向に本来の成長変化は起こらない。
王族に代々伝わる古の書物に、聖獣にまつわる言い伝えが記されている。
『聖なる獣が白くまばゆい光を放ち、空を羽ばたく翼を授かるとき。気高き者と正式な契約を結び、共に空へ駆けていく』
また、別の項目にはこう記されている。
『互いに高め合い、刺激し合い、覚醒したとき、そのときは訪れる』
それは必然的に魔力の交換になるのだろうと、朧げながら思い描いていた。
魔力を取り戻した今、こちらはいつでも交換する準備は整っているのだが、カーティスは気が乗らないのか、その素振りを見せない。
ただただ一日を、目眩しの魔法がかかる部屋で過ごす。マリーは知らなかったようだが、許された者しかこの部屋には辿り着けない。
カーティスの変わらない過ごし方は、まるで待っているかのようだった。ここに再び、マリーが現れるのを。
そう思いたいだけなのか、カーティスはなんの意思表示もせず、ただ静かに丸まっていた。