もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
不意になにかが落ちる大きな音が聞こえ、身構える。部屋にかけられていた絵画が壁から落ちたようだ。
たまたまだと言ってしまえばそれまでだが、嫌な予感がする。
カーティスもムクリと体を起こし、エリックを見つめた。
そして体をぶるりと振るうと、白く光を放ち始めた。
エリックは目を見開きつつも、瞬時に理解し、カーティスを導く。
「こっちだ。ここで変化しては、外に出られなくなる」
通路側ではなく、自室に通じる扉を開き、窓へと急ぐ。
開け放った窓からは木々の芽吹きが感じられ、今まさに翼を背中から出そうとするカーティスを促す。
凄まじい魔力だ。近くにいるだけでビリビリと痺れを感じる。しかし、それは心地よい痺れ。
「我と契約しようぞ。カーティス。共にマリーを迎えに行こう」
手のひらに魔力を込め差し出すと、徐々に大きくなりつつあるカーティスが頭を下げ、手に額を付けた。
それから長年体に馴染んだ動作のようにカーティスの背に掴まり、窓から羽ばたかんとするカーティスに騎乗した。
まばゆい光に包まれながら、窓枠から離れ空へと飛び立つ。
「お前の意思は受け取った。俺だけでなく、マリーも必要なのだな」
手触りのいい毛並みを撫でると、フンと鼻を鳴らした姿が頭上から確認でき、声を出して笑った。