もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

「ものすごく大きくなったのね」

 背の高いエリックの遥か上に頭がある。座っていても三メートルくらいありそうだ。

「そうだな。普段は不便なときもあり縮めているが、こうして本来のサイズに戻っていた方がカーティスも伸びやかでいられる」

 ああ、だから天井の高い大広間に呼ばれたのね。

 しかも、縮めれるんだ……。
 それってすごく便利じゃない。

「でしたら、あのときも? 灰色で小さい聖獣なのかと……」

 最後まで言い終わる前に尻尾で、はたかれる。ふわふわのもふもふでも、勢いをつけられたら結構痛い。

「えっ。なんでっ!」

 不満顔を向けるとエリックは笑っている。

「ククッ。マリーの発言が気に入らないらしい」

「だって今はなんだか変わってしまいましたけど、可愛いハスキー犬だったじゃないですか」

 再び、はたかれて軽くよろめく。

「痛ったあー」

「だから発言に気を付けろ。カーティスは崇高(すうこう)な聖獣だ」

「なんでですか? ハスキーはクリッとしたつぶらな瞳が可愛くて、大きくて、ちょっとお馬鹿なところもご愛嬌で」

「全力でカーティスを侮辱しているぞ」

 カーティスは機嫌を損ねてしまったのか、フンッと顔を背けている。

「どこがですか! めっちゃ褒めてます!」

「カーティスはどちらかと言えばオオカミだ」

「オオカミ……。白銀のオオカミ。かっこいいですね」

 エリックの隣に凛々しく座っているカーティスは、優美で美しい。この姿が本来の聖獣としてのカーティスなのだ。
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