もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

「なんの証拠もないが、城で過ごす以上、ワイアットには気を付けてくれ」

 身の竦む威圧感を思い出し、マリーは自身の体に腕を回す。

「怯えなくてもいい。贈ったブルーサファイア……またしていないのだな」

 首元に視線が行き、首を縮める。

「その、私には恐れ多くて」

 言い訳を口にすると、エリックは妖しく目を細める。贈られた宝石と同じ瞬き。

「ならば、改めて契りを交わそうか」

 長い腕が伸び、テーブルの向こうから頬にそっと触れる。指先からは以前にも感じたビリビリとした痺れがもたらされる。

「ひやっ」

 間抜けな声が漏れると同時に、すかさず音もなくカーティスがマリーの傍に降り立つと、首後ろの襟を咥えられ力技で王子から離された。

 お陰で椅子がガタンと大きな音を立てる。

 エリックの手が離れたのを見届けるとフンと鼻を鳴らし、また高みの見物へと戻っていく。
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