もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
上に視線を向けても、カーティスはそっぽを向いている。そして正面に視線を向けると、真っ直ぐな美しい青色の瞳。
「記憶を失っていたのですよね?」
当然の指摘にも、エリックは悠然としている。
「一時的に忘れていても、なにかを待っている感覚はずっと持っていた。そしてマリーに再び出会い、待っていたのはマリーだと確信した」
「適当なことを仰らないでください」
真っ直ぐに向けられる視線から、堪らず目を逸らす。
「カーティスと魂を通わせ、カーティスの姿を借りていたと話しただろう?」
この件については、カーティスだと信じ切って恥ずかしい思いをしたから、忘れるわけがない。
頷いてみせるとエリックは続ける。
「カーティスは俺が姿を借りているうちは、奥深くで眠りにつく。だから弱っているときは変わるようにしていた。辛そうにしているのが、俺のせいかと思うと見ていられなくてな」
からかいたいがためにカーティスの姿を借りていたのかと思っていたのに、想像していなかったエリックの優しさを知る。
「いつも体調が悪そうでした。カーティスも、それにエリック様も」
ワイアットと対峙したためにギリギリの状態になり、突然仮死状態になったときを思い出すと今でも胸が苦しくなる。