もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

 ビリビリとした痺れ。痛いのとは違う。心地いいと言ったら語弊がある。でも、嫌じゃない。

 添えられた手に頬づりをしてしまいそうで、目をギュッとつぶる。

 するともう片方の腕は、マリーの背中に回り抱き寄せられる。大きな腕の中に包まれ、鼓動は否が応でも速くなる。

「あ、あの」

 上擦った声はエリックの胸に押し当てられたせいでくぐもって、か細い声にしかならない。

「なにも考えず、魔力の流れに集中するんだ」

 お言葉ですが、この状況下で無心になれと⁉︎

 エリックと触れ合っている背中や腕、体中に、柔らかな温もりを感じる。それは体温とは違う。番の解除魔法を施されたときみたいに、まるで癒し魔法だ。

 緊張で身構えていたのに、ふにゃふにゃになっていく。

「無防備な魂だな」

「わ、私が、ですか?」

「ああ。半分は俺のせいか。加護を与え危機感を持つ機会を長年奪っていた」

 強引なのに、ときとして自分を責めがちな王子に気持ちが緩む。

「もっと独裁者みたいに酷い仕打ちをしてくだされば、嫌いになれますのに」

 柔らかな魔力の流れを感じ、まぶたが重くなる。

「孤児院育ちであろうと俺の妻にする。そう出来るようユラニス王国を変えるつもりだ」

 王子の宣言を夢の中で聞いた気がした。
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