もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

 目が覚めると、とてもいい夢を見た気がして、心地よい温もりを手繰り寄せようと伸ばした手は空を掴む。

「ん? あれ。なんだっけ?」

 寝ぼけ眼をこすりながら、あの心地よい温もりの正体の記憶を辿る。

 えっと、あれは、エリック様との魔力の交換?

 そこまで考えてガバリと体を起こす。

 自分の部屋だ。私、どうやってここまで?

 見慣れた自分の部屋に、ひとつだけ違和感を抱く。通路へと続く扉とは逆の方向。部屋の奥に、今までなかった扉があった。

 どこにも出られなさそうな扉。城の構造上、この箇所の扉の向こうは外だ。マリーの部屋は三階。階段かなにかがなければ落ちてしまう。

 単純に外に繋がっているとは考えづらい。それに部屋の奥にある扉には見覚えがある。

 速まる気持ちを抑え、ドアノブに手をかける。

 開いてみても向こう側は見えない。固唾を飲み、意を決して扉の中に飛び込んだ。
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