もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

「なんだ。ここにいたのか」

 元、カーティスの部屋。なんとなくひとりになりたくて、仕事が終わった後、ここに足が向かっていた。

 部屋の脇にあるソファに座り、ぼんやりしているマリーの横にエリックも腰掛ける。

 変わらずぼんやりしていても、なにも聞かない王子に、つい心の声を漏らす。

「すごく幸せな現場に居合わせて喜んでいたんですが、急に寂しくなってしまって」

「そうか」

 聖獣は五匹それぞれに可愛かった。活発な子もいれば、甘えっ子の子、おっとりした子、やんちゃだったり、いたずら好きだったり。

 見た目は同じ白いふわふわのもふもふだったが、違いはあって、みんな大好きだった。

「私も、名前、つけたかったなあ」

 恐れ多いのはわかっているのに、つい本音をこぼし、慌てて付け加える。

「もしも、私が王族だとしたら、私の聖獣に会えるのでしょうか」

 有りもしない考えだと思っていたのに、今はそんなもしもに頼りたくなる。
< 159 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop