もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
「この話、進めてくれて構わない」
すんなり同意したエリックに拍子抜けする。それはそうだ。彼の伴侶には相応しい身分の人がいる。
王子ともなると、生涯を共にする女性を選ぶのも、こんなにも事務的で愛がないのだと知り、どこか寂しい気持ちになっている自分に心の中で苦笑する。
自分への言葉は全てからかいだとわかっているのだから、私がなにか言えた義理はないわ。
「それでは、先方にその旨を伝えさせていただきます」
「ああ、よろしく頼む」
淡々と進む縁談話を聞いていられなくて、マリーはスクと立ち上がって言う。
「では、私はこれで」
「マリー様」
「はい」
イーサンに呼び止められ、顔を上げる。
まだなにかあるのだろうか。
また、お払い箱になる件についての話? なにもやましい関係でなくとも、婚約が決まるのなら王子の近くに年頃の小娘がうろちょろしない方がいいに決まっている。
ああ。次の勤め先の心配をしてくれるのかな。そうそう。私が働かなきゃ壺の弁償代が滞ってしまうものね。
目まぐるしく想像が駆け巡る中、どれとも違う答えを聞く。