もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

「魔力ばかり持て余していましたので、自分なりにアレンジしていますから」

「アレンジ……」

 渋い顔をするイーサンに、慌てて付け加える。

「あ、でも、安心してください。危険な魔法は人様に使ったりしませんから」

 危険な魔法を人様に、というよりも王子に使ったりしたら、それこそ首が飛びそうだ。

「え、ええ。まあ。さきほどの浄化は素晴らしかったです。これほどの力があれば野戦病院などではなく、王都でいくらでも病院の働き先がありましたでしょう?」

「それは、その〜。私、孤児院出身ですので、王都で暮らしている高貴な方々を治療するのは、ちょっと」

 魔力が全て。

 そんな風にさえ思えるユラニス王国でも、やはり孤児院育ちというだけで、断られた経験や、嫌味を言われた経験もある。

 だから人間よりも動物がいい。
 その動物から避けられている悲しい境遇なのだけど。

 それでもマリーは腐ったりしていない。
 どんな階級も、魔力があれば学べる仕組みのあるユラニス王国に感謝していた。
 そうでなければ、マリーはここまで回復魔法を使いこなせなかっただろう。

「これは、想像以上ですね」

 感心したように顎をさするイーサンの横で、エリックは変わらず退屈そうに外を眺めている。

 光に包まれたとき、目を丸くしたのは見間違えだったのかもしれないと思うのだった。
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