もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

「ここまで魔力も技術もありながら、どうして城付きの治療士を目指さなかった?」

「待っていたのにな」と、よくわからない呟きを聞きつつ、マリーは首を振る。

「城付きの治療士は、身元がしっかりしていないとダメなんです。そもそも孤児院の出というだけで、王都の治療院も歓迎されません」

「そうか」

 相槌を打つ王子に、マリーは続ける。

「雇ってくれるのは街外れの病院くらいで。そこでも歓迎されるわけじゃないですし」

 当時を思い出し、少しだけやり切れない気持ちになっていると、王子はしっかりとした口調で言う。

「マリーのような人材は王国の宝だ。今以上に王国が豊かになるよう、改革を進めると約束する」

 当時の気持ちまですくい上げられ、胸が熱くなる。

『待っていたのにな』というのは、『きみみたいな魔力のある治療士を』という意味だろう。

 最初は有無を言わさず連れてきて、横暴だ!と思ったけれど、エリック王子は平等な人なのだと考えを改めた。
 マリーのような孤児院出身の人間でも、力を見て評価をしてくれて。
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