もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
城での生活も馴染んで来た頃。問題が起こった。
ケイトやシャリオを含め、マリーを除いた全ての世話係がとうとう倒れてしまったのだ。
魔力を使い果たし、みんな寝込んでいるという。
ひとり元気なマリーは、聖獣の部屋の前で鼻息荒く腕まくりをする。
「よーし。ひとりでも世話をしてみせようじゃないの」
扉を開け中に入ると、マリーが来たと察知した聖獣の一匹がマリーに飛びかかる。
「ちょ、ちょっと! 最近、いい子にしてたじゃないのー!」
ほかの世話係に倣い、マリーも聖獣に極力触れない方法で接していた。懸命に世話をするマリーに、聖獣たちもおとなしくしていたのに。
次から次へと「え? 今日は遊んでくれるの?」とばかりに、マリーに突撃してくる。舐め回したり、体を擦り付けたり、好き放題だ。
「待って! ダメダメ。私まで倒れちゃったら……」
久しぶりのもふもふ。待望のもふもふ。
自由な聖獣に、マリーの中でなにかが切れた。
「もう知らない! 私も思う存分もふもふしちゃうんだから‼︎」
腕を広げ、ギューッと目の前のもこもこを抱きしめる。ふわふわで癒されることこの上ない。
ここにいる聖獣は全部で五匹。みんなをそれぞれに抱きしめたり、顔を埋めて堪能してから、マリーはスクと立ち上がって言う。