もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
治療魔法を施しても、元気のないカーティスを見つめていると、扉が開きエリックが顔を出した。
「いつもありがとう」
「いえ」
今日は王子もどこか体調が悪そうだ。青白い顔をしている。
「私が王子に意見など恐れ多いと存じておりますが、エリック様も回復魔法が必要ではありませんか?」
虚な目を向けられ、胸の奥が痛くなる。青く澄んだブルーサファイアの瞳が今は濁っているようにさえ感じる。
「いや。必要ない。少し、嫌な気に当てられただけだ」
エリック王子も、孤児院育ちの私みたいな人間に治療されたくないのかもしれない。
一瞬よぎった弱音を頭を振って追い出す。
「いいえ。私は治療士です。目の前で弱っている人や動物を見たら放っておけません」
断固とした決意で告げると、フイッと顔を背け言葉をこぼす。
「無理するな。俺まで治療してもしもマリーが倒れたら、俺は情けなくてここに来れなくなる」
いつもの悠然とした声ではない、少し頼りのない声色はマリーの胸を締め付け、気付いたときには王子の両手に自身の手を重ねていた。