もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

 夢の中は平和なもので、目一杯のご馳走に囲まれてよだれをたらしていた。

 そういえば、今日は忙しくてお昼をご飯食べ損ねたなあ。

 夢は本当になんでも可能で、ご馳走が自ら浮かび上がりふわふわと目の前に移動する。
 大きなお肉。柔らかそうで肉汁まで(したた)っている。

 マリーは夢見心地で口を開け、かぶりついた。

「クククッ」

 口いっぱいに広がる美味しさと共に、誰かの笑い声を聞く。

「へ?」

 寝ぼけ眼で、口をもぐもぐさせると、夢のはずなのにちゃんと美味しい。

「急に意識を失ったから焦ったのに、腹を鳴らすから吹き出したよ。イーサンを呼び寄せて食べ物を用意させたら、寝ながら食べ始めるし。本当、マリーは見てて飽きない」

 薄目を開けると、頬杖をつき目尻を下げている王子が見える。

 夢の続きなら、どうかちゃんとした現実に目覚めて!

 マリーの祈りは神には届かず、現実は食いしん坊な自分を楽しげに王子に見られているの図、の方だった。
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