もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません

「魔力の枯渇は起こしていませんようで、安心いたしました」

 淡々と告げるイーサンの声を聞きながらも、エリックは次のご馳走、サーモンのパイ包み焼きをフォークに刺し、マリーの口元まで運ぶ。

「あの、自分で食べたいです」

「せっかくだ。俺が与えたい」

 ニッコリと口角を上げる王子が、悪魔に見える。

「エリック様はお元気そうで」

「ああ、おかげさまで」

「……なによりでございます」

 早く食べろと言わんばかりに更に差し出され、観念してギュッと目をつぶり口を大きく開ける。

 エリックはもちろん、イーサンも、それからカーティスにさえも見られている針の筵のような食事を続けた。

 イーサンとカーティスのどこか冷めた視線が痛々しく、美味しいはずの食事もよく味わえずにゴクンと飲み込むのだった。
< 54 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop