もふもふな聖獣に反対されても、王子は諦めてくれません
「話を元に戻したいのだが?」
片目だけ閉じ、もう片方の目で伺うように視線を投げられ「はい。どうぞ」と応じる。
「慣れないカーティスの体で行動したため、自分の不手際で動けないほどの怪我を負った」
それは恐ろしい思いをしただろうと、当時のエリックに同情する。
「見た目はそれこそ薄汚れ、灰色だった。とても聖獣には見えない身なりだったと思う」
薄汚れた、灰色……。
頭の中で単語を繰り返して、あるひとコマが呼び起こされる。
「あー! あのときの⁉︎」
エリックは満足そうに目を弓なりにする。
「思い出してくれたか」
「え、ええ」
確かに昔、灰色の動物を助けた。ただ今の今まで野生の動物だと思っていたけれど。
「もしかして、あのとき助けられた鶴の恩返し的な話じゃありませんよね? 助けたのはたまたまですし、私じゃなくても助けますよ」
「いいや。薄汚い動物には誰も見向きもしなかった。マリーだけだ」
真っ直ぐに見つめられ、心臓が音を立てる。
待って待って。だからその時に恋に落ちましたって? そんなのあまりにも話が出来過ぎている。